シャネル・ネクサス・ホールで行われる写真展の今年二人目のアーティストは、「最も美しい創作物の真髄を表現する芸術家」としてフランスを代表する女性写真家サラ ムーンでした。
ココ シャネルがそうであったように、サラもまた想像的な作品を通して世界に自分のヴィジョンを問うてきた稀有な女性の一人。現代において最も注目される写真家の一人であり、映像作家としても高く評価されています。
そんな彼女が30年以上に渡り、世界の第一線で活躍し創出してきた独自の幻想的かつ深淵なイメージを、今回はシャネルのために未公開作品と新作を中心に100点以上を特別公開しています。
本展のタイトルが示す通り、今回の重要なテーマは「時の流れ」。
これは彼女が作家人生を通じて追求してきた命題であり、現実よりも夢の世界を映すスナップショットのような儚さです。その一瞬が消え去る時に放つ残り香のごとく、漂う郷愁や強い感傷といった趣は、日本における「わび・さび」といった、観るものに解釈を委ねるノスタルジックな記憶に通じ、一瞬を永遠に定着させる甘美な哀愁ともいえます。
サラが今回求めたのはただ一つ「白い空間」。
そして用意されたのは、サラも驚く「白」以上に白い「純白の空間」でした。
そこは光がまばゆく時が止まっているかのような錯覚にすらなる、足を踏み入れることを躊躇するほどの圧巻の空間であり、まさにサラムーンの世界観そのものとなっています。
会期前のレセプションのスピーチで、シャネル社長:リシャール コラスは「雨が降ると足元がグレーになってきてしまいますので白いうちにお越しください!」とコメント。ゲストの皆様の暖かい笑いを誘い、華やかな幕開けとなりました。
皆様もご自身の目で、ぜひサラの世界観を確かめにいらしてください。
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< 開催概要 >
ーーー http://chanelnexushall.jp/program/2018/dun-jour-a-lautre/ ーーー
開催期間:2018年4月4日(水)〜5月4日(金)
(入場無料・無休)
会場:シャネル・ネクサス・ホール
(中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F)
主催:シャネル株式会社
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< サラムーン 写真家・映像作家 >
1960年代にモデルとして活躍した後、70年代にはファッションや広告の分野で写真家としてのキャリアをスタートさせ、シャネルを含むトップメゾンの仕事に携わる。1985年に作家としての作品制作をはじめ、その10年後に「パリ写真大賞」を受賞。写真集『Coincidences』(Delpire 2001年)、『CIRCUS』(何必館・京都現代美術館 2003年)、『Sarah Moon 1,2,3,4,5』(Delpire 2008年、優れた写真集を選出するフランスの「ナダール賞」受賞)など数多くの著作がある。ロンドン、ニューヨーク、ストックホルム、モスクワ、上海等、世界各地で個展を開催。映像作品としては「ミシシッピー・ワン」(1991年)、アン カルティエ=ブレッソンを追ったドキュメンタリー「Henri Cartier-Bresson Point d’interrogation」(1995年)、「Robert Delpire Le montreur d’images」(2009年)、「Lillian Bassman There is something about Lillian」(2002年)などがある。詩人のシャルル・ペローや童話作家のアンデルセンにインスパイアされたショートフィルム5作品の他、最新の脚本・監督作品には「5th-5」(2012年)などがある。
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< シャネル銀座ビルディング特別企画 >
この展覧会を記念して、期間中一部、シャネル銀座ブティックおよびベージュ アラン・デュカス東京にて、サラ・ムーンとシャネル ファイン ジュエリーがコラボレーションした作品の数々も特別展示されていますので、ぜひ合わせてお楽しみください。
Photo by Tokyo Wolves
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