お隣・中国の蘇州にある本色美術館では、今月10日(2022/7/10)にスタートした3日間で本格的な茶道が学べる茶会ワークショップが開催されました。
講師は、日本に長く住んでいた回香さん。日本で中国の伝統文化を教えながら、彼女自身は、茶道・弓道・能・和太鼓・阿波踊りを学んできました。現在は、中国禅仏教と茶道、日本茶道と中国茶の起源との違いを利用して、茶道の美学を多くの人々に教えています。
ワークショップは、抹茶道・煎茶道にコースが分かれています。回香さんの衣装も、抹茶道では和服。煎茶道は中国服の茶服とシーンに合わせています。
茶服での煎茶道の様子は一見、中国茶芸のようにも見えます。煎茶道と中国茶芸は近いと言われているので、ワークショッピに参加した中国の皆さんも、茶服で教えられることで煎茶に親近感が湧いたのではないでしょうか。
ワークショップの様子がわかる本色美術館の公式ページ(中国サイト)は下記からご覧いただけます。
https://mp.weixin.qq.com/s/C0z57rjCy1V5nzHDGhdaFw
【本色美術館ってどんなところ?】
海外の美術館の中に畳があるなんて、かなり珍しいですよね。本色美術館とは一体どんなところなのでしょうか?
水の都として知られる人口1072万人(2018年調べ)の江蘇省の中心都市・蘇州。古くから絹織物で発展した都市で、世界遺産に登録された古典庭園や歴史文化街区が観光客にも人気です。
本色美術館は蘇州市街地の南側、地下鉄2号線「郭巷」駅エリアに位置する非営利の私設美術館で、8000平米を超える展示空間は、エントランスホール、大展やテーマ個展に適したテーマ展示エリア、映像ホール、オフィスエリア、スタジオ、会員クラブ、カフェ、芸術品ショップなどで構成されてます。
本色美術館は中国と世界各地の芸術機関と長期的な協力関係を構築し、定期的に相互訪問と展覧協力のもと「21世紀の東方美学」をテーマとした、絵画や彫刻、建築をはじめとする現代アートを展示しています。そんな中で、中国本土や世界各地から集まり駐館する若手アーティストには、創作・コミュニケーション・展示のプラットフォームを提供する計画も進んでいます。
館長の陳翰星氏は茶人でもあり、中国茶の文化に関する陶磁器、書道、空間芸術に関する展示も多く、定期的に茶会などを開催しています。
美術館内では展示された作家の作品が購入できるコーナーなども設けられています。
本色美術館は、蘇州の最新カルチャーがわかる美術館としても知られており、月に一度開催される地元クリエイターが集う3日間のアートマーケットが大人気です。2022/7/1から3日間行われたアートマーケットにはクリエーターや飲食店のテントメインに300軒ほど軒を連ねました。
美術館の平均月間来館数が約6000人に対し、アートマーケットの1日の来場者数は約50,000人とのことなので、圧倒的な人気が伺えます。
物販以外にも、文化体験ワークショップ(茶道、生け花、和菓子、音楽療法、宗教、哲学関係)や、音楽会なども会場のあちこちで行われ賑わいを見せています。
マーケット開催中は、美術館敷地内に飲食店の屋台も出店されます。入場料は50元。現在は、WeChatの公式アカウントからの実名申し込みが必要となっています。
日本の文化体験ワークショップも積極的に取り入れる本色美術館。蘇州の最新カルチャーがわかると言うのも納得です。
2022/7/1~7/3に開催されたアートマーケットは本色美術館の下記公式ページ(中国サイト)からご覧いただけます。
https://mp.weixin.qq.com/s/NOK4W61hlzYHYGuQ-W8YXQ
館長の友人であり、美術館の企画展などを手がける蘇州光琳舎文化有限公司 CEOのaki(王曉蓉)さんにお話を伺いました。
Q1.この美術館の特徴を教えてください
A1.(aki):本色美術館は完全な私立美術館で、一番の特徴は、中国最初のミュージックバーを設立した経験を持つ元デザイナー館長です。館長自身の美意識と経歴を活用して、この美術館を作りました。不動産などを処分しながら美術館を十数年間経営しています。
Q2.館長のそばにあるのは盆栽ですか?館長は盆栽がお好きなんでしょうか?
A2.(aki):はい。盆栽と植栽が好きです。本色美術館内の植物は、館長の構想で植えられました。
Q3.akiさんはこの美術館でどのような企画展を手掛けていますか?
A2.(aki)現在、現代アートの中国バージョンのBAYC、ボアードモンキーの2ヶ月間の展示会を2022/8/1まで開催しています。
Q4.作家やクリエーターのキュレートをakiさん自らもされていますか?
A3.(aki)はい。そうです。日本の作家の方を担当しています。昔からの知り合いもいますので、中国に興味ある方たちに企画の説明をしています。
Q5.本色美術館は日本とのつながりはありますか?
A4.(aki)日本とのつながりは多いですね。茶道の回香先生は日本で修行して今、中国で教えています。以前、日本の職人の作品と尺八の先生、花園大学の仏学の先生などが、本色美術館で演奏や講座などを行なっています。
Q6.今後、どんな企画展を予定されていますか?
A5.(aki)これからは日本の職人とアーティストの発掘に力を入れていきます。本色美術館をスタートとして中国進出される方の発展の力になりたいです。
日本とも縁のある本色美術館。コロナが落ち着いたら、中国の悠久の歴史と最新のアートを感じにぜひ訪れてみたい場所です。
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