八景島シーパラダイスの人気ショー・新生『LIGHTIA~七色のキセキ~』を手がけた演出家・橋本大佑氏と人気イラストレーター・まころん氏が、命の物語とアート演出の舞台裏を語ります。
~Introduction~
「LIGHTIA~七色のキセキ~」
光と命の旅 イルカたちが時空を超えて、過去・現在・未来を巡り、 命の調和を探し求め、奇跡の花を咲かせる旅
奇跡の花を咲かせるために、イルカたちは時空を超える壮大な旅へと出発します。
太古の世界では命が生まれる瞬間に立ち会い、地球の初期では燃え盛る大地を駆け抜け、未来の世界では新たな光が輝く希望の土地へと向かいます——。
旅の中で集められた多様な色の光が奇跡の花に注がれ、ついにその花が開く時、すべての命をつなぐ七色の大樹が生まれます。時空を超えたイルカたちの冒険によって、光と色が織りなす感動のストーリー。
命をつなぐ光の物語——八景島シーパラダイス「LIGHTIA」の革新と進化
夏の八景島シーパラダイスが、2025年もまた新たな感動で私たちを包み込みます。2018年の初演から続くイルカショー「LIGHTIA(ライティア)」は、今年「LIGHTIA〜七色のキセキ〜」として大幅にリニューアルされ、命のつながりをテーマにしたアートイルカショーへと進化しました。
舞台は、1500人を収容する「アクアスタジアム」。映像、照明、水しぶき、音楽が一体となった演出は、まさに“体験するアート”。その幻想的な空間を彩る主題歌には、人気音楽ユニット・ヨルシカの楽曲『晴る』が使用され、ショーの世界観を一層深く印象づけています。
その演出を手掛けるのは、「19年連続で『映像作家100人』に選出されている橋本 大佑氏。空間演出やビジュアルデザインで注目を集めるデジタルクリエイティブスタジオLILの共同創業者であり、演出家、アニメーション作家、視覚芸術アーティストと多岐にわたり活躍する橋本氏。
そして、キービジュアルを飾るのは、SNS総フォロワー30万超、アニメ美術監督出身の人気イラストレーター・まころん。
ショーの制作裏話から二人の出会い、そしてコラボレーションに込めた想いまで、たっぷりと語っていただきました。
▼ クリエーター2人が語る舞台裏目次
Part 1|演出家・橋本大佑が語る『LIGHTIA』の世界

1.五感で感じる命のつながりーーイルカショー『LIGHTIA』が描く世界〜
ロングランを支えた「命のつながり」というテーマ
「LIGHTIA」は、自然界のエレメント——赤、青、黄、緑といった色が象徴する“光・水・土”の要素を、イルカたちが旅する物語です。各色の世界をガイドするイルカたちは、それぞれの色の精霊として存在し、最終的に大きな花を咲かせるというスピリチュアルなストーリーが描かれています。
すべてのエレメント——つまりすべての命はつながっている。動物も人間も、自然も含めて、すべてがひとつの大きな光の存在へとつながり、その象徴として“花”が咲く。そんなメッセージが、ライティアには込められています。
そうしたスピリチュアルで深いメッセージ性を持つのが、ライティアという作品の核でもあります。
今回のリニューアルで橋本氏は、物語の時間軸を「過去・現在・未来」へと広げ、そこに地球の平和や人と動物の共生といった普遍的なメッセージを加えました。「色」だけでなく、「命の旅」を描く構成になったことで、観客はまるで物語の一部になったような没入感を味わえます。
“イルカショー”の常識を超える演出

「イルカショー」と聞けば、ジャンプやトレーナーの合図による芸を想像するかもしれません。しかし、ライティアはまったく異なる次元にあります。プロジェクションマッピングとイルカ、そしてトレーナーが完全に連動し、まるで舞台演劇のような構成で展開します。
特に驚かされるのは、映像とイルカの動きの「同期」です。これは単なる偶然ではなく、イルカがジャンプする瞬間にスタッフが映像エフェクトのボタンを押すという、超人的な連携によって成り立っています。「まるでイルカが映像に合わせている」と錯覚させるその仕組みは、独自に開発されたオペレーションシステムに支えられています。
「実際、お客様から“イルカに厳しい訓練を課しているのでは”というお問い合わせが来たこともあります」と橋本氏は明かします。それほどまでに映像とイルカが一体化しているのです。
2.『LIGHTIA』の舞台裏——命とアートが交差する演出の秘密
見どころ——五感を揺さぶる瞬間の連続
「LIGHTIA」の最大の見どころは、人とイルカ、そしてテクノロジーが“三位一体”で織りなす瞬間の連続にあります。
特に印象的なのは、イルカのジャンプと同時に花びらや光の粒が弾けるように映し出されるプロジェクションの演出です。観客はそのシンクロの正確さと美しさに息を呑みます。また、トレーナーたちが“演者”としてステージに立ち、身体表現とナレーションでストーリーを紡ぐ場面も必見です。
イルカがジャンプし、映像が呼応し、トレーナーが空間を駆け抜けます。そこに音楽が加わることで、視覚・聴覚・体感温度まで含めた五感全体が刺激される体験となります。
さらに注目すべきは“ライブ感”です。イルカたちは毎回気分や調子が異なるため、同じ構成でもジャンプのタイミングや表情が変わります。つまり、「一度として同じショーはない」のです。まさに“生きている舞台”と言えるでしょう。
加えて、ショーがもたらす“奇跡の一体感”は見逃せません。イルカのジャンプ、トレーナーの動き、映像のエフェクト、音楽やナレーションが完璧に重なったとき、観客の感情は一気に頂点に達します。「誰かが操作している」などと考える隙すらない自然なシンクロは、まさに“命の共演”を感じさせる瞬間です。
その一瞬一瞬が、“今この場所だけの出来事”として刻まれていきます。まさに、アートであり、ライブのような時間です。

演出家としての哲学と進化
橋本氏のキャリアはアニメーターからスタートしています。当時所属していた会社でアニメーターからディレクションへとステップアップし、約6年にわたりディレクター兼アニメーターとして活動されてきました。手がけていたのは、テレビアニメというよりもCGアニメーションや空間演出を含む多様な映像作品。その中でプロジェクションマッピングによる空間全体の演出も任されるようになり、現在のショー演出の礎が築かれました。
プロジェクションマッピングを単なる映像技術としてではなく、「物語に命を吹き込む手段」として活用する姿勢には、橋本氏の強い信念が感じられます。「ただ映像を見せるのではなく、“旅するストーリー”として観客を引き込みたい」という思いの背景には、仏教における「すべての命はひとつである」という思想も根付いています。
キービジュアルが生み出す世界観——まころんとの出会い
今回のショーで世界観の“扉”となったのが、人気イラストレーター・まころん氏によるキービジュアルです。
これまでビジュアル制作も自ら手がけてきた橋本氏ですが、「今回は自分以外の力で、世界を広げたい」との思いから、以前より注目していたまころん氏にオファーを出しました。「最初に描いてくださった絵は、僕のイメージをとても丁寧に汲み取っていただいたものでした。でも、せっかくまころんさんにお願いするなら、その素晴らしい才能を最大限に発揮してほしいと思って。“もっと自由に、まころんさんらしく描いてください”とお願いしました」と橋本氏。
繰り返しやり取りを重ねる中で、徐々に“まころんらしさ”が前面に現れ、最終的には、幻想的で深い海の中に誘うようなビジュアルが完成しました。プールやジャンプといった典型的なイルカショーの絵柄とは一線を画す仕上がりは、一見するとショーのキービジュアルとはかわからないほど。しかし、そこが逆に観客の想像力を刺激し、ショーそのものの本質とシンクロしているのです。
橋本氏は語ります。「なぜまころんさんがいいと思ったかというと、ラッセンのような“わかりやすさ”もありつつ、ラッセンにはない“今っぽさ”があるからです。ラッセンの絵はクオリティは高いけれど、どこか時代を感じさせる。でもまころんさんの絵は、ジャパニメーション的なエッセンスを含みながらも、今の日本の空気をちゃんと映している。そういう絶妙なバランスを持つ人って、他にいないんですよ。まころんさんの絵は、まさに“時代とマッチしている”んです。」
さらに、「そもそもインスタフォロワー15万人を超える人気イラストレーターが、この仕事を引き受けてくれるのか?という不安もありました」とも明かします。
「これはもう“まころんさんしかいない”。第一候補としてお願いさせていただきました。本当に快く引き受けてくださり、感謝の気持ちでいっぱいです」と橋本氏は笑顔で語ります。
「一番嬉しかったのは、“こういう仕事をずっと待ってた”とまころんさんが言ってくれたことです。さらに“八景島シーパラダイスに行ったことがあります”とも。そんな運命的な巡り合わせに、驚きと喜びを感じました」
キービジュアルはショーへの入口であり、観客がまず触れる世界の“表紙”。だからこそ、その選択は橋本氏にとっても大きなチャレンジでした。

Part 2|まころんが描く命の旅と“この世界の入口”
今回、ショーのキービジュアルを手がけたのは、人気イラストレーター・まころん氏。橋本氏が描く物語を、どのように受け取り、どんな想いでビジュアルを描いたのか——ご本人にお話を伺いました
3.『LIGHTIA』キービジュアル制作の裏側|まころんが語る橋本大佑との共演と創作秘話
出会いと共鳴
記者:橋本さんとのやりとりで、印象に残っていることは?
まころん:最初の連絡はエージェント経由でした。でも、自分が一番やりたかったジャンルの仕事だったので、すごくうれしかったです。
記者:橋本さんの作品はご存知だった?
まころん:はい。スカイツリーやショッピングモールの作品を見ていて、自分と似てるクジラが泳いでるなと思って。動画に撮ったりしていました。
記者:橋本さんも、まころんさんの作品をリスペクトしていたと?
まころん:そうなんです。お互いリスペクトしていたので、自然となじんで。ぶつかることなく、いいところを引き立て合いながら制作できたと思います。
リスペクトで生まれた共演
記者:まころんさんの世界観に橋本さんの世界観が入り込んで生まれた想いは?
まころん:ふつうはコラボだとテーマを考えると思うんですけど、橋本さんが自分へのリスペクトを高く持ってくださったので、自然と混ざり合うような感覚でした。
記者:じゃあ、そのままスーっと入っていって、それを続けて描いたという感じですか?
まころん:はい。今回は、もう初めてっていうくらい、自分の好きな表現をしてもいいって。お互いにリスペクトがあっていいものができる、みたいな形でしたね。
初の水族館ビジュアル
記者:水族館のビジュアル制作は初めてだったそうですね。
まころん:はい。水族館のお仕事は初めてでした。去年、実際にクジラやイルカと泳いだことがあって、その体験も影響してると思います。今までのキービジュアルの中でも、いちばん想いが強い作品になりました。
ショーの演出をイラストに込めて
記者:イルカとの共演、という想いもこめられていました?
まころん:そうですね。縦構図のキービジュアルでは、イルカショーの中で非現実を表すような構成を考えました。宙に浮かぶ女性はトレーナーさんをイメージしていて、その下は時計。時空を超えるイメージです。
記者:星が降ってくるような表現もされていましたね。
まころん:はい。イルカショーでシャワーが降ってくる演出を、星に見立てて描いています。現実のショーのシーンをビジュアルに反映させました。
まころん:あと、小さくたくさんの生き物を描いています。ヒゲペンギン、サメ、鯛など、実際に八景島シーパラダイスにいる生き物たちです。エイもよく自分の作品に登場するモチーフで、、、。漂う感じが好きなんです。
イレギュラーなキービジュアル制作
記者:制作過程において、他のキービジュアルとの違いを感じましたか?
まころん:この仕事は、求められているのがイレギュラなキービジュアルだったんです。普段のキービジュアルは商品に対してっていうのが多いんですけど、橋本さんからは「自由にまころんさんの普段のもの描いてください」って言われて。好きに表現していいっていうのが強かったです(笑)
記者:そういう意味ではちょっと握みどころが難しかったりしました?
まころん:そうですね。自分は最初、水族館なので、実際の水族館と空(非現実性)を組み合わせたような世界観がいいのかなと思ったんですけど、自分のいつもの表現を全面的に出してくださいみたいな形でした。
納得いくまでリテイク
記者:イレギュラーなキービジュアル依頼。そんな中で、どのように進めていきましたか?
まころん:最初は方向性を確認して、自由に描いてほしいってとこから、何回かテイクを重ねてたんですけど、2テイク目か3テイク目くらいからは、自主リテイクでした。
記者:自主リテイク?
まころん:はい。確認は投げてたんですけど、進捗報告みたいな形で。何回も手を入れさせてもらって、本当に自分が納得するところまでやらせていただいきました。
記者:ということは、橋本さんからのリテイクは?
まころん:2回か3回くらいで、その後は1~2日に1回くらい「こうしました」って感じで報告してました。時間の許す限りギリギリまで手を入れて、公開の30分前まで修正してました。
記者:えっ、30分前!?
まころん:そうなんです。この部分直してくださいっていうのが最後に一件あって、そこを直して30分後に公開されていたので。少し待たせてしまったかな、という気持ちはありました。
本番のショーを観て

記者:ショー本番を初めて見たときの感想は?
まころん:とても感動しました。トレーナーさんたちとも話して、プレスデーでは完成度8割くらいだったそうですが、音の調整などを一緒に確認していました。暗い中で合図を音だけでとっていることにも驚きました。
リニューアル8年目とのことで、トレーナーさんたちの想いや工夫もすごく伝わってきて。参加できて本当に良かったと思いました。
4.命と未来を描いたアートの想い|『LIGHTIA』に込めたまころんの表現と世界観
キービジュアルに込めた想い
記者:このキービジュアルが、『LIGHTIA 〜七色のキセキ〜』の世界の入口になるわけですが、制作において大切にしたことは?
まころん:時空を超える、生命、希望……未来につながる感覚ですね。生命の調和、未来への希望みたいな想いをこめて描きました。
まころんブルーが届けるもの
記者:アートを通して、届けたいものは何ですか?
まころん:見る人の心が曇っているときに、自分のブルーを通じて晴れやかになってもらえたらいいなと思ってます。未来への希望を届けたい、そういう気持ちです。
壮大なテーマに触れて
記者:ビジュアル製作にあたって最初に聞いたイルカショーのコンセプトや物語をどのように受け取りましたか?
まころん:時間を超越した壮大な物語を連想しました。原始的な生命の誕生から、現代の多様な生命、未来へとつなぐ、そういう「生命の連鎖」を想像しました。
記者:そのストーリーを聞いたとき、どんな状況や感情が頭に浮かびましたか?
まころん:「奇跡の花」がテーマにあったので、花が咲いて何かが生まれる、生命が生まれるようなイメージや、イルカがジャンプするようなイメージがまず浮かびました。
観客に届けたい世界
記者:キービジュアルに込めた想いや意図は?
まころん:壮大な物語のイメージだったので、見る人に驚きや感動を伝えたかったです。非現実的な光景を見せたい。例えばイルカショーとの化学反応のような、説明しにくいけど、幻想的で詩的なイメージを伝えたいと思ってました。
Part 3|ショー『LIGHTIA』が届けるメッセージ
5.テクノロジーと命が交わる唯一無二の舞台
テクノロジーは「共演者」
「テクノロジーはツールではなく、共演者です」。橋本氏はそう語ります。
とくにAIに対する姿勢は印象的です。AIを「ただの便利な道具」としてではなく、自分の内側にある想いや表現と真剣に向き合ってくれる“協力者”として扱っています。
「AIはサンドイッチの具材のようなもの。どんなに美味しい具材でも、それをどう挟んでどう提供するかは、人間の魂にかかっていると思います」
技術そのものではなく、伝えたい“コア”があるかどうか。それこそが橋本氏にとって最も重要なポイントです。
「AIが当たり前の世界になって生き残るのは、信念を持った人間だと思います。AIは僕の制作の幅を広げてくれる最高の協力者ですが、もし依存してしまえば、魂が消えてしまう。だからこそ、技術の先にある“人間らしさ”をどう融合するかが、これからのクリエイターには求められると思います」

ライティアは「体験するアート」
「LIGHTIA」は、単なるイルカショーでも、プロジェクションマッピングでもありません。観客は、ショーの世界の一部になり、命の旅を体感します。
「命のつながり」「純粋な愛」「人と動物の共演」——これらのテーマは、現代の分断や葛藤に優しく寄り添うメッセージとして観る者の心に届きます。
「純粋なイルカの姿と、それに寄り添う人の想いが、誰かの心を癒やすきっかけになればと思っています」と橋本氏。
その言葉通り、会場に響く歓声や感嘆の声は、単なる技術や演出を超えた“感情の共有”であることを物語っています。
6.観る者すべてに贈る“7色のキセキ”
橋本氏のショーには、語られない深いメッセージが込められています。しかしそれは押し付けではなく、観客それぞれが自分なりの感覚で感じ取り、受け取ることができるものです。
「同じショーは二度とない」。それはイルカの気まぐれだけでなく、観る人の心の状態によっても毎回違った感情が呼び起こされるからかもしれません。
「LIGHTIA」は、観るものではなく“体験するもの”。この夏、八景島シーパラダイスで、あなたも命と光の物語を感じてみてください。
「 LIGHTIA~七色のキセキ~」
📍八景島シーパラダイス:神奈川県横浜市金沢区八景島
公式サイト https://www.seaparadise.co.jp/event/paradise_nightlive_lightia7.html
・総合演出:橋本大佑(LIL)
・制作:LIL
・キービジュアル:まころん:プロフィールはこちら👉 https://the-selection.jp/yacac/author/makoron117/
















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