芸術を愛し支援したガブリエル・シャネル。そんな彼女の精神を受け継ぎ、アートとの出会い、人々との出会いを結びつけ続けているシャネル・ネクサス・ホールでは、女性写真の巨匠とも言われる立木義浩氏の写真展を開催。
立木氏は1958年のデビュー以来、ファッション、ポートレート、広告などの分野で独自の世界観を繰り広げる日本を代表する写真家の一人。
世界から色を削ぎ落とすことで現れる、光と影のみで構成される黒と白の世界に、現実の生々しいリアリティを一瞬の一コマとして、立木氏はモノクロ写真に切り取ります。
1965年、ある女性を主人公に自在なカメラワークで都市のファンタジーを表現したデビュー作『舌出し天使』は、同時代の写真家たちに大きな影響を与えました。
それから50年以上もの月日を経て、立木氏の眼に映る大都市TOKYOはどう変遷を遂げたのか?
今回シャネル・ネクサス・ホールにて開催する『Yesterdays 黒と白の狂詩曲(ラプソディ)』は立木氏の最新作です。
テーマである「Yesterdays」は「Yesterday」の複数形。つまり今は現在の積み重ねであり、昨日も過去の蓄積。目の前の一瞬を逃すことなく、そこに秘められた光景に立木氏の追い求めるリアリティがホール全体に広がっています。
立木氏は言います。
眼にした写真的な光景を撮り損ねた時、「網膜に二度と出会うことのない名作が溜まっていく」と。そして、その”名作”と同じ写真を撮ることは決してかなわないのだと。
御歳80歳とは思えぬ人間味溢れるやんちゃな素顔が随所に見られる立木氏。
インスタに象徴される「四角い写真」に今が象徴された、とても興味深い内容です。
=== 立木義浩 写真家 ===
1937年徳島県生まれ。1958年東京写真短期大学写真技術科卒業後、アドセンターに入社。1969年にフリーランスとなり、女性写真の分野やスナップ・ショットで多くの作品を発表。広告、雑誌、出版などの分野で活動し、現在に至る。第9回日本写真批評家協会新人賞(1965年)、日本写真協会賞年度賞(1997年)、日本写真協会賞作家賞(2010年)など受賞歴多数。主な写真集に『少女』、『Tokyoto』、『etude』、『動機なき写真』などがある。また、立木の名を世に知らしめたデビュー作『舌出し天使』が2018年秋に出版予定。
————————- INFORMATION ————————-
会期:2018年9月1日(土)〜9月29日(土)(入場無料、会期中無休)
時間:12:00〜19:30(9月14日(金)は17:00まで)
会場:シャネルネクサス・ホール(中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F)
公式HP:https://chanelnexushall.jp/program/2018/yoshihiro_tatsuki/
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