エルメス財団は、オルタナティヴなキュラトリアルの実践を試みるThe 5th Floorのディレクター岩田智哉をゲスト・キュレーターに迎え、アルメニア/リトアニアのアーティスト・作曲家であるアンドリウス・アルチュニアン(1991年生まれ)の日本で初個展となる「Obol」を開催しています。
アルチュニアンは第59回ヴェニス・ビエンナーレ(2022)において、アルメニア・パビリオン代表、また、第14回上海ビエンナーレ、第15回光州ビエンナーレ、第17回リヨン・ビエンナーレに参加するなど、精力的な活動を行っています。
アルチュニアンは、しばしば時間を、粘性をもつ催眠的な力として扱ってきました。音楽を「歪んだ時間の建築」と捉える彼は、ヴァナキュラーな実践、思弁的な儀礼、そして政治的同調と音の調和のあいだのパラレルな関係を探求し続けています。この度、ル・フォーラムにて、彼は冥界の未来的なヴィジョンを想像します。あらゆる文明は、儀式、神話、図像を通して、今世と来世のどちらの生をも統御する方法を生み出してきました。秘教的文献、神話の断片、トランス、消失の象徴が「地下レイヴの美学」を通して立ち現れる本展は、「冥界者のためのクラブ」として、時間・未来・神話についての問いを投げかけます。
「Obol」は、一連の新作によって構成されます。アルチュニアンは、かつては聖性を付与されながら、現代では世俗的用途に転用されている物質「瀝青」を制作に用います。本展は、この極めて粘性が高く漆黒な石油由来の物質である瀝青をイメージの起点に、冥界の渡し守カロンの神話や、古代の宗教から語り継がれる神格へとオマージュを捧げます。彼が創出する重層的な音像は展示空間を横断しながら全体を結びあわせ、遊戯性と厳粛さを兼ね備えながら、冥界に冷ややかなアンセムを響かせます。また儀礼的触媒として空間に布置されたカロンへの渡し賃の銀貨オボルや蛇、生成的な神話的図像が、未来の冥界における儀式を想起します。
思弁的で瞑想的な本展を通して、私たちは、アルチュニアンの向かい合う未来の冥界のための儀式に触れ、その儚い境界の旅へと足を踏み入れるのです。

ARTIST
アンドリウス・アルチュニアン Andrius Arutiunian
1991年、アルメニア/リトアニア生まれ。「聴く」ことのハイブリッドな形式、ヴァナキュラーな知識、そして現代的な宇宙論を扱うアーティスト・作曲家。アルチュニアンのリサーチはしばしば、時間性、共鳴、そしてオルタナティヴな世界の秩序を実験的に探究する。催眠的かつ謎めいた形式に関する遊び心に溢れた思索を通して、アルチュニアンのインスタレーション、映像およびパフォーマンス作品は、音楽的および政治的な調和という概念に挑戦する。

Selected Solo Exhibitions
2025 Under The Cold Sun, Kunstmuseum Magdeburg, Magdeburg, Germany
2025 Poison Paradise, eastcontemporary, Milan, Italy
2025 This World Will Disappear Before You Read It, Memphis, Linz, Austria
2023 Gharīb, The 59th Venice Biennale, Armenia Pavilion, Venice, Italy
Selected Group Exhibitions
2025 Performa, New York, United States
2025 Forever Temporary, MO museum, Vilnius
2024 The 15th Gwangju Biennale, Gwangju, South Korea
2024 The 17th Lyon Biennale, Lyon, France
2024 The 9th Asian Art Biennale, Taichung, Taiwan
2024 The 15th Baltic Triennial, Vilnius
2024 Borders Are Nocturnal Animals, Palais de Tokyo, Paris
2024 Lithuanian Contemporary Art from the 1960s to Today, Centre Pompidou, Paris
2023 The 14th Shanghai Biennale, Shanghai, China
2023 Refuge, Contemporary Art Centre, Vilnius
2023 Positions: Elsewheres, Stroom, The Hague, the Netherlands
Awards
2024 Future Art Generation Prize, shortlisted, Kiev, Ukraine
2024 Young Artist of the Year, Culture Ministry of Lithuania
ゲスト・キュレーター
岩田智哉 Tomoya Iwata
1995年、愛知県生まれ。キュレーター。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科修了。アジア各地のオルタナティヴ・スペースを訪れ、それぞれのローカルのアートシーンにおけるオルタナティヴとインステテューションのダイナミズムについてのリサーチを行う。また自身もそのようなスペースを運営する実践者として、展覧会に限らない広義のキュラトリアル実践を通して、既存のシステムに対するオルタナティヴの可能性を模索する。2022年4月より、キュラトリアル・スペースThe 5th Floorのディレクターを務める。主な展覧会に、「さかむきの砂」(kudan house、東京、2025年)、「ANNUAL BRAKE」シリーズ(The 5th Floor、東京、2024年/2023年/2022年)、「between / of」(The 5th Floor、東京、2022年)。
関連企画
GALLERY TOUR & GUIDE TOUR
スタッフとともに展覧会を鑑賞するツアーを定期開催しております。いずれも事前予約不要です。どなたさまもお気軽にご参加ください。
ギャラリー・ツアー
展覧会の背景やそれぞれの作品について、ゲスト・キュレーターの岩田智哉氏が解説するギャラリー・ツアー。
日時:2月27日(金)、3月6日(金)17:00から(約40分)
ガイド・ツアー
会場スタッフとともに、展覧会を鑑賞するガイドツアー。
日時:3月20日以降の毎週金曜日、3月29日(日)、4月12日(日)、4月29日(水・祝)、5月9日(日)、5月24日(日)
17:00から(約40分)
*アルチュニアンによるイベントも2月27日(金)21:00 から予定しています。
詳細決定次第、ホームページにてご案内します。
関連展覧会
Deep in the Sway
アンドリウス・アルチュニアン、アヌラック・タンニャパリット、AFSAR(Asian FeministStudio for Art and Reserch)、プラジャクタ・ポトニス
本展の開催に合わせて、グループ展を開催します。
会期:2026年2月21日(土)~5月10日(日)
会場:The 5th Floor
キュレーター : 岩田智哉
詳細はThe5thFloorのウェブサイトでご確認ください。
https://the5thfloor.org/
エルメス財団
「私たちの身振りが、私たちをつくり、私たち自身の鏡となる」。
エルメス財団は2008年の設立以降、この理念をすべての活動の原動力として歩んできました。これらは、一人一人の行動が、私たち全員の成長や幸福をもたらすという信念に基づいています。
エルメス財団の支援は、明日の世界を築くため、芸術分野における新しい創造、技術やスキルの伝承、環境保護、そして社会的連帯の促進という4つの柱のもと、独自のプログラムを通じて行われています。これらの活動は、共有の知識を育み、より広い公益のための進歩を促し、現代社会の中心に人道的価値を確立したいという、私たちの根本的な姿勢を反映するものです。2016年に理事長に就任したオリヴィエ・フルニエ、2021年からディレクターを務めるローラン・ペジョーのもと、エルメス財団は現在、5年毎の任期の第4期目の活動を行っており、2023–28年期の予算は、6300万ユーロとなっています。
Obol
アンドリウス・アルチュニアン
2026年2月20日(金) ~ 2026年5月31 日(日)
@andrius_arutiunian @fondationhermes
#Obol #Andriusarutiunian#FondationHermes#LeForumTokyo#銀座メゾンエルメスルフォーラム
※ギャラリーは基本、銀座店の営業に準じております。
ただし、開館日と開館時間についての最新の情報はホームページをご確認ください。
開館時間: 11:00–19:00(入場は18:30まで)
入場料:無料
休館日:水曜日
会場:銀座メゾンエルメス ル・フォーラム 8・9階(中央区銀座5-4-1 TEL 03-3569-3300)
主催:エルメス財団
協力:東京日仏会館、モンドリアン基金、東京日仏学院、リトアニア・カルチャー・カウンシル
















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