Rakuten Fashion Week TOKYO 2024 S/W Collection 『KAMIYA』

“Time is Blind”

「時間は常に誰にでも等しく流れていくものですが、それに左右されない真に確立されたスタイルが存在すると思います」̶̶流行に翻弄され迸出するエネルギーに身を任せる衝動性と、その軽薄さからときとして生まれる普遍性を帯びた様式の探求。KAMIYAの2024-25秋冬コレクションの根底に存在するのは、ファッションを巡って移ろう時間の二面性だ。

神谷が心奪われたのは、1 9 5 0 – 6 0年代のドイツに生き、アメリカのカルチャーを独自のスタイルへと昇華した労働者たちだった。エルヴィス・プレスリーの写真を大胆に貼り付けたベルトのバックル、ボールチェーンでフライフロントを閉じたジーンズ、ペイントや刺繍を施したバイカージャケット。アメリカ的な記号を過剰に積み重ねた先に顕れる逸脱や諧謔性を宿したスタイルに一 過 性の熱 狂を超 越 する力を感じ取り、その反骨精神やDIYの手法をワーク/ミリタリーウェアに投影。

ブランドの代名詞であるダック地のアイテムは、過剰なほどに施した加工によって奥行きのある表情へと更新された。針抜きで表現したクラッシュ部にビーズやハンドステッチで装飾を加えたニットには手仕事の息づかいが宿り、デニムからスニーカーまであらゆるアイテムに散りばめられたアメリカを象徴するブランドの意匠のパロディは、流行に浮つく人々の心象風景をアイロニカルに炙り出す。ベルベット生地に裏からパンチング加工することでチェック柄が浮き上がるセットアップやロングコート、ミリタリーサージのテーラードジャケットなど、従来のブランドイメージを裏切るドレッシーなアイテムはデザイナーの秘めた反骨精神を映している。

バイカー、カウボーイ、あるいは黎明期のロックスター。蛇行した道程を力強く牽引するアメリカのアイコンたちに自らを重ね合わせ、時代の趨勢に飲まれず、無骨で不器用な芯をそのままにKAMIYAのスタイルを貫き通すこと。劇的な変化の波が訪れる渋谷の街において独自の色を維持し続ける渋谷百軒店を会場とした本コレクションによって、その決意を宣言する。

デザイナー:神谷康司/Koji Kamiya
1995年生まれ、愛知県出身。高校卒業後、大阪でアパレルキャリアをスタート。
ヴィンテージ/アーカイブと現行品をミックスさせるファッションカルチャーに強い影響を受け、ヴィンテージショップで販売キャリアを重ねる。
その後三原康裕に師事、SOSU社のストリートレーベルMYne(マイン)に参画、自身のコミュニティを形成。
2018年ディレクターに就任。モード感のあるストリートウェアに自身のルーツを投影した物作りを展開。
2023年ブランド名を変更し、KAMIYA(カミヤ)としての活動をスタートさせる。

Brand Profile

2023年、オリジナルブランド KAMIYA(カミヤ)を始動。
デザイナー自身が追求するヴィンテージスタイルを軸に、ダメージ加工に代表される表情変化を駆使した物作りで、どのジャンルにも属さない独特なアイテムを展開する。

Photo by Shun Mizuno

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

「食」のライフスタイルメディア

お仕事マッチング

広告

クリエーター発掘コンテスト

オフィシャルムービー

ファッション / アートのアーティストとPR担当者の為の発信・発掘Facebookコミュニティ

NEW

  1. 俳優は、演じる役柄の個性を自分の中に吸収します。しかし観る側は、実際にはその役を演じる役者を、つまり…
  2. 同時進行する現実の反映、多元的な女性像、変化し続けるプラダの視点。2025 年春夏のプラダ広告キャン…
  3. MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社が取り扱うシャンパーニュ メゾン ヴーヴ・クリコは、「ヴー…

アーカイブ

PAGE TOP
Translate »